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Column

映画『フェアウエル』 食卓に並ぶ料理と家族それぞれの想い

1 日前
読了時間: 3分

スープが溢れる小籠包や、ふかふかの包子、もっちりした水餃子など、点心にはおいしいものがたくさん。多彩な料理は見ているのも楽しいですよね。

 

そんな点心をはじめ、本場の中華料理が登場する映画をピックアップしました。現地の空気を感じられる映画とともに、テイクアウトした料理を楽しんでみませんか?


実話から生まれた、心に染みる映画『フェアウェル』

今回ご紹介するのは、くすっと笑えて、じんわり心が温まる映画『フェアウェル』。ルル・ワン監督が実際に体験した、とある〈嘘〉をもとに作られた作品です。

 

公開当初はわずか4館での上映でしたが、評判が広がり全米TOP10入りという大ヒットを記録。ゴールデングローブ賞も受賞し、大きな話題を呼びました。

 


 2019年/100分/アメリカ

監督・脚本:ルル・ワン

出演:オークワフィナ、ツィ・マー、ダイアナ・リン、チャオ・シュウチェン他

 

◇◆あらすじ◆◇

ニューヨークで暮らすビリーは、中国に住む祖母のナイナイが病で余命3ヵ月であることを知ります。しかし家族たちは、病について本人には伝えないことを決めていました。

親族を集める口実として計画されたのは、いとこの結婚式。ビリーと家族たちはナイナイのもとに集まり、結婚式までの数日をともに過ごします。

 

「真実を伝えるべき」と訴えるビリーと、「悲しませたくない」と反対する家族たち。

嘘をつくべきか、それとも真実を伝えるべきか?

葛藤を抱えながらナイナイと過ごすなかで、ビリーがたどり着いた答えとは……。

 

◇◆みどころ◆◇

中国では、相手を傷つけないために「いい嘘をつく」という習慣があるそう。とくに重い病の場合、本人に告げない選択をすることも多いのだとか。

しかしアメリカで育ったビリーには、その考えがどうしても理解できません。

 

価値観の違いや葛藤が描かれるなかで、印象的なのが何度も登場する食事のシーンです。秘密を共有する家族が集まり、さまざまな想いを抱えながらひとつの円卓を囲みます。そこに並ぶのは、中国らしい大皿料理の数々。

 

ナイナイの家では、小籠包や包子、肉餅、スープ、炒め物といった家庭料理がずらり。結婚式の披露宴では、大きなカニやエビのほか、舞台となった中国東北部のごちそうが宴席を彩ります。

 

久しぶりに孫たちと会えてうれしそうなナイナイは、「さあ食べて」と笑顔で料理を勧めます。それに対し、真実を悟られないようにふるまう家族の胸のうちは複雑なもの。

おいしそうな料理が並ぶ温かい食卓なのに、そこには言葉にできない不安や切なさが混ざっていて、その独特の空気感がこの作品ならではの深い味わいになっています。

 

食事をして、悩んで話し合い、残された時間をどう過ごすべきかを考えるビリーたち。大きな事件が起きるわけではないけれど、誰もが身近に思えるような、とても切実な日々がそこにはあります。

 

愛するひとのために、最後に何ができるだろう?

 

そんな問いを、温かなまなざしで丁寧に、そして時にコミカルに描いた本作。切なくも愛おしさに満ちていて、胸にじんわりと染みるやさしい感動を残してくれます。


そして観終わったあとには、家族みんなで囲んでいた食卓に並ぶ料理がふと思い出され、実際に味わってみたいと思わせてくれます。そんな余韻も、この映画の魅力のひとつなのかもしれません。

 
 

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