top of page
コラムトップ.png

Column

旅の記憶に残る、本場の小籠包

8月20日
読了時間: 7分

更新日:8月30日

旅先で出会う料理には、その土地でいただくからこそ感じられる美味しさがあります。今回、本場の点心を求めて訪れたのが、台湾を代表する小籠包の名店、鼎泰豐(ディンタイフォン)。「郭さんの点心製作所」を運営するマゴコロダイニングの代表等とともに、小籠包をはじめ、炒飯や包子など、さまざまな料理を味わってきました。


鼎泰豐の店頭。


味も人気も世界レベル。台北・鼎泰豐の小籠包


台湾・台北に到着して、まず向かったのは「鼎泰豐」。今や日本をはじめ、世界各地に店舗を構える、小籠包の名店です。ニューヨーク・タイムズ紙の「世界の人気レストラン10店」に選ばれたこともあり、その味を求めて、世界中から多くの人が訪れます。台北に着いて最初の食事に選ぶなら、これ以上ないお店。世界で愛される小籠包への期待を胸に、いざ「鼎泰豐」へと向かいます。


鼎泰豊のマスコットキャラクターである包仔(Bao zai)がお出迎え。
鼎泰豊のマスコットキャラクターである包仔(Bao zai)がお出迎え。ニーハオ

お昼時ということもあり、店の入口にはすでに長い行列ができていました。店内へ入るまで、待つこと約1時間。店の外からは、ガラス張りになった厨房の一部を覗くことができます。そこでは、たくさんの職人が小籠包を仕込んでいました。生地を伸ばし、肉餡を包み、一つひとつ形を整えていく、その手際のよさには目を見張るものがありました。


職人が真剣な眼差しで、一つひとつ小籠包を作っている
真剣な眼差しで、一つひとつ小籠包を作っていきます。

ようやく店内へ入ると、スタッフが忙しそうに料理を運んでいます。そして、どのテーブルにもと言っていいほど、せいろが置かれていました。やはり、みんなのお目当ても小籠包。目の前に並ぶせいろを眺めていると、こちらの期待もますます膨らんでいきます。


まずは看板メニューの小籠包から


もちろん、私たちもまずは小籠包を注文。せいろの蓋を開けると、ふわっと立ち上る湯気。思わず歓声が上がります。その中に並ぶ小籠包は、薄く繊細な皮に包まれながらも、どこかふっくらとしていて、見た目からして食欲をそそります。この中に旨味たっぷりのスープと肉餡が――。それを想像するだけで、期待が一段と高まってきました。


蒸篭の中の小籠包
待ちに待った瞬間。小籠包とご対面。

はやる気持ちを抑えながら、一口でぱくりといきます。もちっとした皮を破ると、熱々のスープが口いっぱいにじゅわっと広がります。そこに押し寄せるのは、噛むほどに旨味が溢れ出す肉餡のジューシーな味わい。すっきりとしたスープが、肉餡の旨味とコクを引き立て、後味まで軽やかに楽しめます。皮、肉餡、スープ。この三つが一体となることで生まれる美味しさは格別です。空腹だったことも手伝って、一口頬張った瞬間から食欲は一気に加速します。気がつけば、何種類か注文したせいろの中はあっという間に空っぽに。


スプーンにのせた小籠包
中には肉汁がたっぷり

一つがこんなに小さいのに、その満足感は大きく、心まで満たしてくれました。いやはや、何個でも食べられてしまいそうです。


炒飯の理想形、ここにあり


小籠包をたらふく堪能した後、次にいただいたのは中華料理の王道、炒飯。


小籠包と一緒にたべた中華料理の定番、炒飯
中華料理、やはり炒飯は外せません。

卵をまとった米粒は、つぶれることなく火入れされているのが分かる美しい仕上がりです。スプーンですくって口に運ぶと、米の一粒一粒がふわっとほどけ、軽やかなパラパラ感が口の中に広がります。そして、味付けのバランスも実に絶妙。塩味はやさしく、油っこさもほとんどありません。飽きのこない味わいに、次から次へとスプーンが進んでしまいます。


具材や調味料を重ねて味を複雑にするのではなく、まさに「シンプル・イズ・ベスト」を体現したような炒飯でした。余計な味付けをしていないからこそ小籠包との相性も抜群で、気づけば小籠包と炒飯を交互に口に運んでいました。このコンビは、食べる幸せに思いっきり浸れる、やみつきの組み合わせです。


思わず唸った、鶏の紹興酒漬け


そして、個人的に一番印象に残ったのが「鶏の紹興酒漬け」です。


鶏の紹興酒漬け
鶏の紹興酒漬け。色々な調理方法があるものだなと感心。

これは、ぜひ一度食べてみてほしいと思った一品。日本ではなかなか出会えない料理ではないでしょうか。


皮には脂っこさがまったくなく、コリッとした心地よい食感とほどよい弾力があります。肉の部分はしっとり柔らかで、噛むほどに鶏肉本来の旨味がじんわりと広がっていきます。そして最後に鼻に抜けていく、紹興酒のなんとも艶やかな香り。


全体はやさしい味つけでありながら、鶏肉の滋味と紹興酒の芳醇さが重なり合い、見事な奥行きを生み出しています。ひと口ごとに味わいが深まり、その余韻までも愛おしくなるような一皿でした。


鶏の紹興酒漬けの断面。
皮は半透明。美しい断面にうっとり。

「これは、どうやって作っているんだろう?」。思わずそんな疑問が浮かぶほどの仕上がり。美味しさに感心するだけでなく、その作り方まで気になってしまいました。



ふわふわの生地と、ぎっしり詰まった肉餡


次にいただいたのは、こちらも点心の定番、包子(肉まん)です。


包子の中にはぎっしりと詰まった肉餡
たくさんの肉を発見した喜び

生地は驚くほどふわふわ。出来立てならではの、やわらかな食感が楽しめます。持ち上げてみると、見た目以上にどっしりとした重みが。その感触からも、中に具材がしっかり詰まっていることが伝わってきます。


早速一口頬張ると、ふんわりとした生地のやさしい甘さに、肉餡の豊かな旨味が重なります。しっかりめに味付けされた肉餡をふわふわの生地がやさしく包み込むことで、味はちょうどいい塩梅に。小籠包のように肉汁がじゅわっとあふれるのとはまた違い、生地と肉餡を一緒に噛みしめることで、しっかりとした食べ応えも感じられます。


そして、子供の頃によく食べた肉まんのような、どこかほっとする親しみのある味わいに、思わず頬が緩みます。温かく、ふわふわの包子を頬張っていると、心までゆっくりとほぐされていくようでした。


台湾でビールを飲むなら『ONLY 18DAYS BEER』


小籠包に合わせるなら、やっぱりビールがおすすめ。台湾に来たのなら、ぜひ飲んでほしいのが『ONLY 18DAYS BEER』です。


台湾でしか飲むことのできない、「ONLY 18DAYS BEER」
このビール、別格。

台湾のビールといえば、「台湾啤酒」が代表的な銘柄。日本でいうアサヒビールのような、台湾ではおなじみの存在です。そんな台湾啤酒が手がける『ONLY 18DAYS BEER』は、ホップの魅力を存分に引き出し、美味しさをとことん追求したビールです。


このビール、その名が示す通り、なんと賞味期限はわずか18日間。殺菌処理をしていないため、鮮度が保たれる期間が限られてしまうのです。長く保存できることよりも、フレッシュな美味しさを優先したい、そんなビールを愛するが故のこだわりが、この短い賞味期限にも表れています。


日本の大手ビールの多くは、製造からおよそ9ヶ月が賞味期限。その差を考えると、18日間という短さがいかに特別なものかがわかります。賞味期限の短さから、日本では手に入れることができないのだとか。台湾を訪れたからこそ味わえるビールなのです。


実際に飲んでみると、ホップの鮮烈な香り、濃厚な味わいとコクが広がり、炭酸の心地よい刺激とともに喉越しは極めて爽快です。ビールを飲み始めて以来、自分史上最大の「くう~!」が出ました。この爽快感、やみつきになるほど。小籠包を頬張り、キンキンに冷えた『ONLY 18DAYS BEER』をゴクリ。台湾を訪れたなら、ぜひこの組み合わせを楽しんでみてください。


湯気の向こうに広がる、美味しい記憶


さすが、世界に展開する人気店「鼎泰豐」。どの料理も味わい深く、心ゆくまで食事を楽しむことができました。このほかにもいくつかの料理を注文していたので、お店を出る頃には、おなかがはちきれそうなほどでした。


料理の美味しさに加えて、もう一つ印象に残ったのが、「鼎泰豐」で働く台湾人スタッフの心のこもった接客です。忙しい店内にもかかわらず、料理を運ぶだけの事務的な対応ではなく、スタッフ同士が声を掛け合いながら、お客さん一人ひとりに丁寧に接していました。私たち日本人にも、片言の日本語でメニューを説明してくれたり、小籠包のたれのつくり方を教えてくれたりと、もてなしの心が伝わってきました。


料理そのものの美味しさはもちろんですが、気持ちよく食事を楽しめる空間もまた、料理をより美味しく感じさせてくれる大切な要素なのだと、改めて感じたひとときでした。


今回の台湾旅を振り返ると、「鼎泰豐」で小籠包や包子をみんなで囲みながら過ごした時間も、楽しい思い出の一つとして浮かんできます。せいろの蓋が開き、立ち上る湯気の向こうに小籠包が現れたあの瞬間は、今もはっきりと記憶に残っています。


蟹入り小籠包

 
 

© 2026 郭さんの点心製作所

bottom of page